サマーノート/そらの珊瑚
空に舞う麦わら帽子目で追った時のはざまで行方は知れず
海からの帰り道はいつだってしぼんでるのにからだは重い
アスファルトに立つ陽炎は死んだら負けといってるみたい
蝉たちがぴたりなきやむ刻が来る日陰をえらび蝶は生き延び
かげろうの先で手まねくものがたり砂漠の白昼夢にも似て
なつやすみ遠くへ行った気になってまわりまわって陽炎の中
つなぐ手と手に汗にじむふたりしか知ることのない夏の水にて
傷つけられたことだけを覚えてるキョウチクトウのはな赤赤し
嫌われたっていいじゃん、そそりたつ入道雲の真白き姿
足りない足りるやっぱり足りない墓石の水すぐに乾いて
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