オリンピック前の満月の夜の歌/秋葉竹
なものだと諦めさせてくれる
僕はただ遊び疲れて夜を歩くのだ
ただでっかい声で悲しみを歌ってゆくのだ
振り返らずにそのままの顔で歌ってゆくのだ
忘れたいことを
忘れられるなんてそんな
都合のいい狂気なんて
どこにも無いんだから?
この街の夜の
平均台をこわごわと歩きながら
あの悲しいおんなのひとのことを
想い浮かべている
梅雨が終わり
オリンピックが始まる夏に
かつて死んでもかまわない目にあった僕と
死にたくなるほどの目にあったあのひとと?
心の導火線はいつも
いつ爆発してもおかしくないことを
知っているから
僕は目にいっぱいの光りを溜めて
ただもうでっかい声で歌っているんだ?
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