オリンピック前の満月の夜の歌/秋葉竹
 

 

まずは、ひとつ
金メダルを獲得したのは
昨夜の夜空のまんまるい月
その光を浴びられたこと、かな

ちょっと繁華な街の
ちょっと安めの店で
アルコールを飲みながら
ふと
もうすぐ始まるパリのオリンピックのことを
考えて、ただもう、ほわーん、として来たら


なんでか、それまでの人生を
そのために捧げて来た
けれど勝つも負けるもなく
まったくべつの罪を犯したつみびと
今回の罪で心の壊れたつみびとの
力無い笑顔を想い浮かべた
みんな、酒飲むときは
心を遊ばせたくて飲むんだけど


でも、それでも世界の舞台に
出場できる努力ができるひとなんだ
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