花火と雲と風と影/秋葉竹
花火と雲と風と影
梅雨明けに久しぶりのあまたの星、満月の夜
部屋の割に大きな柱時計は
間違いのない《とき》を刻んでいるのか?
それともただ文字盤を
針が三本移動しているだけ、の、話なのか?
雨の街をみおろすこの最上階の部屋の
窓ガラスを、滑り落ちる、水滴のように
夜景を泣かせたりはしないだろうが
それでも水滴が、最後の一滴まで
落ちてしまうのが《さだめ》なように
多少、とち狂っていようが間違っていようが
時計は音を立ててなにかを刻むのだ
地球が動いている事実なら
雲や、風や、影の、変化で理解するのだが
その理解のどこにも整合性はない
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