交錯する夏の香り/久遠恭子
夏は夜
涼しげな空気の回廊を歩いていく
百個の風鈴がピンク色に染まって揺らめいている
猫が足元に擦り寄ってきて
パロサントの香りが風に乗って流れてくる
宇宙人は私達のことで
本当は魔法は存在しているのかもしれない
そんな空想が頭をよぎる
魔法を忘れてしまった指先をじっと見る
何かの力があったのなら
人を癒したり病気を治したり
悪いお化けを退治したり
そんなことが出来たなら
指先から発する閃光は闇を打ち砕き
癒しのオーラを纏っている
紫の波動が流れて全てを包み込む
夏の夜
それぞれの想いが交錯する
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