そのままのままで/秋葉竹
一握りの朝が
窓をすり抜けてこの部屋に入って来る
朝焼けの美しさとは永遠に近いんだから
その朝は遠慮なく
トランペットで
だれもが起き出すやさしいメロディーを
奏でてくれればいいのに
ぶ──────────────────ん
と
除湿器の音が
気になるくらいに
静謐な部屋にひとり
影まで孤独な七月に
病んでいるわけではなく
ひとりが怖いわけでもなく
死んでいるわけではなく
死にたいわけでもない
一握りの朝が
ほんのりとじんじんと
私の冷たい瞳をあたためて
なにかを伝えているのだろうが
わからないまま
わかったフリで
起きてし
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