緑の間借り人(改訂)/ひだかたけし
広やかに奥ゆき在る
聖堂に雨降り注ぎ
無数の漆黒の虫たち
動き廻りやがる
疑惑は未だ晴れてない、
俺は我欲捨て切れない、
深い森陰の下草の
緑の間借り人として
深淵を臨む
絶望も無く希望も無く
只 この生在るのみと
生きていけるスペース
生きていけるタイム
限られ区切られ刻まれ
ノイズの狭間にふと静かさ訪れ
ふわりふんわり静かさに乗り
広やかに奥行き在る
聖堂に雨降り注ぎ
この漆黒の蠢き達、
乗り越えようと
何度も何度も
自らを諦め
削ぎ落とし
捨て切りながら
身を寄せる、寄り添う 緑の間借り人
日々に見出される
些細な出来事という奇跡に
今や深淵の向こう遥か大聖堂の在らんと
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