Sweet Thing。/田中宏輔
人のすぐれた引用のコラージュを読んでいると、ふと、そんなことを感じたのであるが、詩人自身も、自分のコラージュのなかには、すぐれたものもあって、そのすぐれたものの特徴に、共感覚、あるいは、複合感覚からもたらされた諸感覚器官の混交を誘発するところがあると言っていた。事物・時間・空間・状況、状態、そういったものが、つぎつぎと結びつき、変質し、混交していくのである。詩は、詩の言葉は、その結びつきと変質、あるいは混交という二つの運動を開始する、一種のスイッチのようなものであるのかもしれない、と。
口のなかに残ったオイルの味。きみの汗が入り混じったオイルの味。鳶色の波間を浮き漂う水藻の塊。ぼくは、そい
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