ソラノヒ/
佐野ごんた
土を踏んで
滴る花をたしかめながら
きみにあいにゆく
どこにもいないということは
どこにでもいるということ
青いイチョウに
さえずる梢に
ありがとうを伝える
空の匂いを探している
きみが隣にいるふりをして
好きなことをしている
きみを見ているのが好きだった
あまり笑わないこだったから
土を踏んで
滴る花をたしかめながら
ぼくはもうしばらく
ここにいる
ちいさく風が応えた
雨上がり
ソラノヒ
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