心象/由比良 倖
 
脳の中にぺたぺたと記念写真を貼っていく。
電車が通る路、鯉のぼりが息が詰まるように、
密柑色に湯のように、揺れている、夏。
オーバードースのように。

鮮やかなブルー、と
黄色いファッション、色々な色が文字にはあって、
飲み込まれるような眩い濁りガラスに、
今日は銀河が、


とてもがさがさした日常の中を走っていく。
街は、とても金魚鉢のよう。
そして全てが、一輪の花のように見える。
どきどきする瞬間だけを待ちわびている。

緑色に、つんとした匂い。街の中の神社。
お城の気配、時計塔の影、


木の家でブランコに乗る。
懐かしさで有名な川を下っていく。
気品のある匂い、ガラスの籠に石鹸、
蛇口には6月の湿った影。

感じることが一番最初にあって、感情と感覚の狭間で、
銀の筋が胸の奥を流れていく。

燃え尽きない思い出、
三十年前のアルバム。

街では、静かな並木道にもやはり、銀の象が通る。
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