ハイヒールの足許が男の鼻先を嘲笑う 「欲しければ尾を振ってついておいで」 街の角で ふと女の姿が消えた 「欲しければ、そこで涙をお流し」
雪の夜を雪の中へ 風の夜を風の中へ 彷徨い出ねばならないものへの怯えか さまよい出よと命令する中枢への怯えか
乳房をくりぬいてしまいたい程 花の束の中で窒息してしまいたい程 ものうい自虐であるとは
かすかな風のそよぎはなつかしい