四千七百四十五日/ただのみきや
誘う澄んだ流れとなる
追いかけて追いかけて手足のないころまで戻ったら
表裏である生と死のあまりに遠い隔たりに
舌を切って置き去りにした風鈴の首はねじれ
切り出した記憶の部位をステーキにする
影は自由気ままに男を連れ回す
厄介ごとを負うのはいつも男の方だ
捕まることも殴られることも影にはない
厚みも重さもない
車に轢かれることも
だが引き回される男はたまったものではない
影を消すには方法は三つ
一つ 四方八方上下から光を隙間なくあてて
影を滅すること
二つ 光が全く入らない真の闇に入ること
三つ 意識を永遠にoffにして影とのかかわりを断つ
ようするに死ぬ
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