夏休み/秋葉竹
 

 

小学生のころのある夏のこと
田舎のじぃちゃんばぁちゃんの家へゆき
なぜか大人用のサンダルで
近所のひまわり畑をまっすぐに走った
むせかえる草花の匂いがし
刺すような太陽が眩し過ぎたので
負けるものかとその光を睨み返して
悲しくもなんとも無いのに
両目いっぱいに涙がたまっていた
真っ黒に日焼けすることを知っていて
今日のじぶんと違うじぶんになれる
あしたの来ることを知っていた


ゆきたいところへゆけなくなることが
心に棘を刺すことになることなんて
これっぽっちも気づかなかったあの日々


嘘だけはつかないように生きてゆくと
あの日の太陽の季節の光と
まっすぐに立っているひまわりに
真っ正直に誓ったのは
まだ白昼の夢をみたことがなかった
ぐっすりと眠れる夜を過ごせていた
田舎で過ごしていた夏休みの輝きの中で

あるいは夜の夢の中で








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