夏の幻の/秋葉竹
 



  

トロイメライみたいな幸せが
どの扉を開けてやって来るのか
わからないままに
幸せなんて要らないと云い切っていた
心に杖をつかなければ
真っ直ぐに歩けなくなった
あの夏の日のこと

サンダルで近所のひまわり畑を駆けていた
刺すような太陽が眩し過ぎて
悲しくもなんとも無いのに
両目いっぱいに涙をためて

ゆきたいところへゆけないことが
心に棘を刺してしまっていることにも
これっぽっちも気づかなかった
振りして
いい意味
そんな嘘だけがじょうずになった
いや悪い意味か

トロイメライみたいな切なさが
どの優しげな口から吐き出されるのか
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