フィクション/由比良 倖
 
世界が平和になればいいなんて言うけど
平和って言うのは君が安全な
世界で死んで行くことを言うのかな?
僕は、あなたの空が閉じて行くのを見ていて
僕は、僕としても殺されるのは嫌だけれど
書類上の死に安息することほど
厭わしいこともまた、ないのであって
だから僕は空を仰いで、僕は
僕の知らない世界へと死んで行けるならいいのに

そこにまた、あなたがいればいいのに
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