わたしがみつけたわたぼこり/そらの珊瑚
 
この世にやってきて
三ヶ月ほど経った赤ちゃん
乳しか飲んでいないのに
ぷくぷくと太った哺乳類
腕に輪ゴムをはめたようなくびれが出来ている
そこに分け入ると
赤ちゃんはわたぼこりを隠していた

寝不足で目の下には慢性のクマ
梳ることも忘れられたぼさぼさの髪
幸せをかみしめるひまさえなかった心

そんな日々の傍らで
いってしまえば塵芥の類の
小さなわたぼこりを見つけるたび
なぜあんなにもうれしかったんだろう

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