好きだった人へ/花形新次
 
正義や真実を
信じて生きてきたから
人生が二度あればなんて
思わない
長くてもあと十数年の
残りの命も自分の生き方で
生きていくだけ

ただ、あのとき
あの人に好きだと言えなかったこと
それが、それだけが心に
引っかかっていて

もし、あの人が
生きていたなら
最後にそれだけは言いたくて

もう何も望みはないけれど
若かった頃の
あなたの涼しい横顔を
思い出す度に
涙が溢れてしまうのです


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