好きだった人へ/
花形新次
正義や真実を
信じて生きてきたから
人生が二度あればなんて
思わない
長くてもあと十数年の
残りの命も自分の生き方で
生きていくだけ
ただ、あのとき
あの人に好きだと言えなかったこと
それが、それだけが心に
引っかかっていて
もし、あの人が
生きていたなら
最後にそれだけは言いたくて
もう何も望みはないけれど
若かった頃の
あなたの涼しい横顔を
思い出す度に
涙が溢れてしまうのです
戻る
編
削
Point
(1)