Ommadawn。/田中宏輔
あるとき、詩人は、ふと思いついて、詩人の友人のひとりに、その友人が十八才から二十五才まで過ごした東京での思い出を、その七年間の日々を振り返って思い出されるさまざまな出来事を、箇条書きにして、ルーズリーフの上に書き出していくようにと言ったという。すると、そのとき、その友人も、面白がってつぎつぎと書き出していったらしい。二、三十分くらいの間、ずっと集中して書いていたという。しかし、「これ以上は、もう書けない。」と言って、その友人が顔を上げると、詩人は、ルーズリーフに書き綴られたその友人の文章を覗き込んで、そのときの気持ちを別の言葉で言い表すとどうなるかとか、そのとき目にしたもので特に印象に
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