Ommadawn。/田中宏輔
 
メル『日々の断想』66、清水幾太郎訳)


世界という世界が豊饒な虚空の中に形作られるのだ。
(R・A・ラファティ『空(スカイ)』大野万紀訳)


 これらの言葉から、詩人の考えていたことが、詩人の晩年における境地というようなものが、詩人の第二詩集である『The Wasteless Land.』の注釈において展開された、詩人自身の自我論に繋がるものであることが、よくわかる。
 先にも書いたように、詩人は、つねづね、『マールボロ。』のことを、「自分の作品のなかで、もっとも好きな詩である。」と言っていたが、「それと同時に、またもっとも重要な詩である。」とも言っていた。その言葉を裏付ける
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