Ommadawn。/田中宏輔
そうか、心配することはなかったんだ」と感じるのだ。
だから彼と話をするのは楽しい。その笑顔をしょっちゅう浮かべて、そのたびに「ああそうか、心配することはなかったんだ」と感じさせてくれるからだ。
(ダグラス・アダムス『さようなら、いままで魚をありがとう』31、安原和見訳)
これは、『マールボロ。』制作以降に、詩人が書きつけていたメモ書きにあったものである。たしかに、同じ事柄でも、同じ言葉でも、順序を並べ替えて表現すると、ただそれだけでも、まったく異なる内容のものにすることができるのであろう。詩人が引用していた、この文章は、ほんとうに、こころに染み入る、すぐれた表現だと思われる。
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