Cut The Cake。/田中宏輔
ろう。美にとって、人間とは何だろう。人間にとって、瞬間とは何だろう。瞬間にとって、人間とは何だろう。たとえ、「意義ある瞬間はそうたくさんはなかった」(デニス・ダンヴァーズ『エンド・オブ・デイズ』上・2、川副智子訳)としても。人間にとって、存在とは何だろう。存在にとって、人間とは何だろう。美と喜びを別のものと考えてもよいのなら、美も、喜びも、瞬間も、存在も、ただ一つの光になろうとする、違った光である、とでもいうのだろうか。人間という、ただ一つの光になろうとする、違った光たち。
それにしても、『マールボロ。』、
なぜ、彼らは、出会ったのか。出会ってしまったのであろうか。彼らにとっ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)