Cut The Cake。/田中宏輔
が言葉における新生の必要条件なのである。しかし、それは、あくまでも必要条件であり、それが、必要条件であるとともに十分条件でもある、といえないところが、文学の深さでもあり、広さの証左でもある。もちろん、引用といった手法も、その必要条件を満たしており、それが同時に十分条件をも満たしている場合には、言葉は、わたしたちに、言葉のより多様な切子面を見せてくれることになるのである。
自分自身のものではない記憶と感情 (……) から成る、めまいのするような渦巻き
(エドモンド・ハミルトン『太陽の炎』中村 融訳)
突然の認識
(テリー・ビッスン『英国航行中』中村 融訳)
それはほ
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