miscellaneous valves(その他のバルブ)/ホロウ・シカエルボク
ことなど出来はしない、繁華街の近く、昔は女を売る店ばかりだったこのあたり、そんな店ももう三分の一程度になってしまった、欲望は流行じゃないのだ、時代の流れ、なんて言葉じゃ片付けられない、本能を忘れて行くかつての獣たち、死ぬまで吠え続けなけりゃ、決意というようなものではないが、そんな変化の中に居ると決まってそんな考えが血を滾らせる、血脈の中で生き続けているものたちがいつだってなにかを書き始める、明日のことなんて微塵もわからないけど未来なら知ってるさ、俺はきっとそこそこ満足して死ぬだろう、願わくば最後の咆哮までこんな風に記すことが出来ればいいな、飲み干した缶コーヒーの苦みは作為的だった、新しい靴の歩き方はまずまずだ、選好みさえしなければどんなものだって身体に馴染ませることが出来る、それについちゃ俺はちょっとしたもんだぜ、時代は流れて変わり続けている、変わらないためには変わり続けなければ嘘だ、自分を通すためだけの主張なんて誰も面白がりはしない、そうだろ?そこに嘘や矛盾があるからこそ、俺たちはそれを信じているんじゃないか。
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