詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その3。+あとがき/たま
雨は詩歌。
雨はメタファー。
雨はわたし。
散文の海へ8
夏休みに入った。
家族連れでにぎわうビーチは、まるでキャンプ場のテント村みたいだ。ビーチパラソルなんていつ消えたのだろう。わたしがおもい描く海水浴場にテントなんてない。ビーチに視界を遮る個室なんていらないはずなのに、なにがうれしくて海水浴場にテントなんだろうか。それも風速八メートルも吹けば飛んでしまいそうな簡易テントばかりだ。テントの入口にはかならず塵みがあるが、他人の家の玄関先をのぞき込んでまで塵みを拾う気にはなれない。ビーチに個室を持ち込むのなら、塵みの始末はじぶんでやってほしい。わたしが拾う塵み
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