ブンサンワオン/soft_machine
 
 本を読んでいるうちに
 気づいたらたばこを吸っていた
 ひょいとスマホを持って
 アルペジオのひとつに溶けて

 忘れていたのだ
 心臓が打ちあきない今のこと
 サイレンの音が
 いつの間にか遠ざかってゆくことを

 波のような耳鳴りに重ねて
 点眼した薬液が
 しっとりとフルニエに抱かれるたびに

 酔余を彩る
 破壊的な夢のひとつひとつが
 音の中をひろがっていたのだと




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