赤いガラケーとテーブル/番田 
 
昔は行っていたことを覚えていた。店員の顔も、何となく覚えていた。そこで、誰かに英語を教えていた客もいた。僕は赤いガラケーを見ていた。まだ、スマホではなかった。スマホもいずれ違う何かに置き換わるのだろうか。未来については何も知らない。過去の記憶だけがおぼろげに頭の中にはあった。だけど変わるのだろう。夜風は、雨を連れてくるのだろうか。頭を天気予報で見た雨マークがよぎった気にさせられた。いつも外に出るときにはそうしていたから、今日も、外に出る時にはそうしていた。しかし人の顔というのはいくつになっても忘れられないものだ。僕が覚えているようには、相手が覚えているのかどうかは知らないけれど、夢の中で今は存在しない、その、誰かと遊ぶことはできた。でも、地元の野球チームに所属していたクラスメイトは、あんなに、なぜいつも必死だったのだろう。彼らは、僕らとは草野球で遊ぼうともしなかったけれど。彼らとは同じ遊びをしていても、いつもどこか隔たりがあったりした。
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