閃篇5 そのさん/佐々宝砂
だ。少女なのか女性なのか微妙な年頃のスカート履いた脚がホームを歩いて…歩いて…何もない空中を歩いて、歩き去っていった。ぼくはぽかんと口を開けて見ていた。びっくりして近くにいた人に「あの人空中を歩きましたよね!」と言ったけど無視された。ぼくはできれば自分の目を信じたい。
3 屋根裏のオルゴール
屋根裏の古ぼけた棚を片付けていてオルゴールを見つけた。ゼンマイは固まってなかったので巻いてみると、聴いたことがあるようなないような曲が流れ始めた。聴いたことが…たぶん…なくはないが、思いだそうとすると頭痛がする。こめかみを揉みながら顔を上げると、カーテンの影から夜より暗い影が染み出してきた。思
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