女学生による謝罪/soft_machine
きらきら赫くスポークの林のすき間で
覚束ない足どりに甘い匂いを残した仔猫が
ただいのちを求めていた
彼の小さすぎる陰に
高架を渡る停車を迎えた貨車が立てる
複雑な五拍子が降り注ぐ
ひとりの女学生がそっと抱えあげ
今にも流れ崩れそうな丸い鼻を
彼に舐めさせる
斥音された私のイヤホンにまで届く
彼女の唇の
ごめん、ごめんね
と、友人たちはその輪をせぼめ
皆、無言で彼女の肩に
見えないてのひらを静かに重ねた
弔いの踊りは
これほどに美しく
謎に充ちた都会の片隅の奇跡であり
いま在るいのちを
必死に信じようとしている
きらきら赫くスポークの林
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