torrential rain/ホロウ・シカエルボク
にとって役に立つようなことはなにも無かった、そして俺は、そんな役割の中に身を置くことにすっかり慣れてしまっていた、そもそも取るに足らないことには違いないのだ、ある一定以上の成果が見込めないものに執着する必要はない、些細な事柄は部屋に紛れ込んだ小虫みたいなものだ、叩き殺そうとするとどこかに逃げ込んで出て来なくなってしまう、それなら、もうそれ以上の努力をするのは無意味だ、いつかそいつがヘマをした時にぶちのめしてやればいい、雨が連れて来る空気には埃が混じっていた、閉じ込められた都市の臭い、俺は顔をしかめてペットボトルの中の僅かなコーヒーを胃袋へ流し込んだ、歩く以外に選択肢はなかった、歩いて住処に戻らなけ
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