初夏、祝福の瞬間に/ひだかたけし
森の樹木の根元に
下草の密生し
濃い陰影を纏い広がり浮かぶ
この孤独な初夏の午後に
意識は冴え冴えと
緑の樹間を縫って
走っていく
けれど 、
光、光の柱立つ
蒼穹の青に
ふっと跳躍せんと
ありとあらゆる力を凝集し
密生する下草の上に足場固める私は
相変わらず闇と闇に挾まれ誘われ
濃い陰影を纏いながら仄か輝く魂、
疾走していく意識に静かに鼓舞され
ぐっと身を屈め待つ、その時を
高く高く垂直に跳躍する 、
生動の内に在る神の一滴独りの私と認め識る
束為す無数無限の純白の蝶たち飛び立つ瞬間に
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