詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その2。/たま
 
たしが水をかけ終えると、中川さんはサンポールを左手に、柄のついたブラシを右手に持って小便器を擦り始めた。
 水をかけ終えたわたしは、荒くたく輪っぱにした水道ホースを引きずって、女子トイレに回る。女子トイレには洗面台が十ほどと、個室が二十五ほどあって、中川さんがクレンザーとスポンジで洗浄を終えた洗面台に、水をかけることになるが、女子トイレの便器はまだ、上田さんがサンポールとブラシを持って擦ってる最中なので、洗面台を流し終えるとまた水道ホースを引きずって、男子トイレに戻って、中川さんが擦り終えた小便器や、大便器に水をかけることになる。
 水道水はずっと出しっ放しで、しかも蛇口は目一杯開放してあるか
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