詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その2。/たま
けでもないのに。というか。ここにいるはずのない自分のすがたにピントが合わない。というか。まるで時差? というか。え、どんな? というか。たぶん、浦島太郎みたいな。というか。あ、そうか。子供のいないわたしには海水浴場なんて無縁の世界だったのだ、と。ようやくそれに気付いて、たしかに理不尽かもしれないけれど、それがわたしの半生だったのだから、受け入れるしかないなとおもった。
七月初旬のビーチは若者の世界だった。家族連れはまだ影がうすく、目立つのは若者ばかりでそのほとんどは学生みたいだが、なぜか、女ばかりのグループが目立った。どこで灼いてきたのだろうか。もうすでにみごとなほどに日やけしている女たちの、
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)