詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その2。/たま
 

 記憶のなかに意識をもつというのは、記憶のなかにもうひとりのわたしが存在するということ。塵みることを拒んでやさしく老いるためには、記憶のなかにいて、未来を描きつづけるもうひとりのわたしがいなければいけないということだ。
 詩は過去にあったり未来にあったりするが、どこにあってもそこにある意識はいまを生きるこのわたしのものだ。意識は自由気ままに時空を跨ぐことができるのだ。詩はそんな意識の気まぐれな便乗者であるかもしれない。


  女

どこから女で
どこまでが女であるのか
ようやくわかりかけてきたところだが
だからといって何かの役に立つかというと
その予定もない
ぼちぼち
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