Sat In Your Lap。II/田中宏輔
 
る領域を設けたことのある事物や事象を、それがあったときと同じ状態で想起させることができれば、たとえ、それがじっさいには、自分の魂のそとで消滅していたとしても、自分の魂のなかでは、それが、ずっと存続しているといえるのではないだろうか。


ふだん、存在は隠れている。存在はそこに、私たちの周囲に、また私たちの内部にある。
(サルトル『嘔吐』白井浩司訳)


無意識に存在する物のみが真の存在を保つ、
(トーマス・マン『ファウスト博士』一四、関 泰祐・関 楠生訳)


永遠の存在とはなにかやっと分かってきそうだ
(ノヴァーリス『青い花』第一部・第八章、青山隆夫訳)


かつて
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