Sat In Your Lap。II/田中宏輔
 
すみ、木(こ)霊(だま)などいふ、けしからぬかたちもあらはるるものなり。」とか「虚(こ)空(くう)よく物を容(い)る。」とかいった言葉は、詩人の「孤独であればあるほど、同化能力が高まるのだろうか。真空度が増せば増すほど、まわりのものを吸いつける力が強くなっていくように。」という言葉を思い起こさせるものであった。

 ただ単に、詩人が書いていたことを追っていただけなのに、こうやって、詩人の原稿やメモを見ながら、言葉をキーボードで打っていると、詩人がどこかに書いていたように、そのうち、自分が言葉を書いているような気がしなくなってきた。しだいに、言葉自体が、ぼくに書かせ
[次のページ]
戻る   Point(6)