終わりのうた/秋葉竹
なのです
いまはもういちばん好きな空気を
その身に纏っているのです
まるで
じっとしていることが
なにかの魔法でもあるかのように
影を縫われた少女は
しずかに息をしているのです
それは不可思議な静止画でした
そしてそこに爽やかな風が吹き
やがて少女をのぞく一切の世界が
ゆるやかにゆるやかに
まわりはじめるのです?
それですべてが終わるのだと
はっきりと知っている少女は
瞳に溜まった悲しみをこぼさないように
夢のようににこりと笑っているのです
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