終わりのうた/秋葉竹
とある休日
ひとり
グランドを走りつづけた少女は
急に立ち止まると
雲ひとつない青空をみあげました
そこには空しかみえなかったけれど
しあわせのすべてがみえた気がしたのです
近くの赤い屋根の洋館から
ショパンの別れの曲なんか
流れて来るものですから
なんだかつまらない悲しみに触れた気がして
少女は立ち止まってしまったんでしょう
悲しみは
あとからあとから降って
少女のちいさな唇に
やさしいキスをしたんです
そして
空をみあげる輝く瞳にも
悲しみはたえまなく降り落ちつづけたのです
すべてを諦めてしまったのは
すこし過去のことなの
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