詩小説『雨の日の猫は眠りたい』その1。/たま
てしまった
とおざかる女たちはいつまでも美しいというのに
詩人は歩くように詩を編み
歌人は息をはくように歌を詠む
それはまるで
日々、やすむことなく
遺書を書きつづけているようなものだから
いつ、いのちを閉じても悔いはないと
言いきることができるだろう
一年の半分は詩を編んでくらしているけど
それはもう日常に癒着しているから
多いとも少ないともおもわない
ただひたすら
一字一句すくいとっては編むことに没頭している
でも、詩を読むことも
たいせつなしごとなんだとおもう
ふしぎなことに
詩を編む力と、詩を読む力はひとしいから
読む力をおろそかにはできない
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