もうすぐ百の猿になる。/田中宏輔
松雄一訳)
この言葉から、「similia similibus percipiuntur. 似たるは似たるものに知らる。」というラテン語の成句が思い出された。「人間というのは、自分と似た者のことしかわからない。自分と似ていない者のことはわからない。」というのである。たしかに、自分に似た者のことはわかりやすい。しかし、生きていくうえで、自分に似た者ばかりが周りにいるわけではないことは周知の事実だ。よく生きていくためには、周りの人間のことを理解していなければならない。どうすればよいか。自分のほうから他者に似ていかすという方法がある。これが自然にできる場合がある。シャーウッド・アンダスンの『トウ
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