たとえばこんな朝の来ない街をみおろす悲しみの夜の果てに/秋葉竹
つ世界、
その後立ち直ったなれの果てがこの街だと、
飢餓を克服した文明と進歩の時代を嘲笑う、
その巨大な蛇のまなこなのだろうか。
僕にはなにも関係なく流れてゆく時間だ。
そんな時間が過ぎてゆき、
この街の夜も明ける時間が近づいた。
そこに最悪の悲しみがある訳ではなく、
毎夜路上に転がっていた悲しみがあるだけ。
なにも特別で無い動き出した街のなかへ、
飲み込まれてゆきにゆくみんなも僕も。
不思議なことはなにも無い。
僕はなにをしに来たのかと、
僕はなにをして来たのかと、
指先が震えるほど巨大な問いを問う。
どこにゆけばよいのかわからない朝が、
きっともうすぐやって来る。
そのまえに、
スマホでこの街の夜景を撮ろう。
きっとこの目でみているほどの、
美しさはもちろん写らないことは、
残念ながら知ってはいるのだけれども。
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