ブラックコーヒーと白い嘘/秋葉竹
 




海のうえを昨夜の花火の残骸が

恥ずかしげに漂っている

まるで月が落ちたみたいと騒いでいた

みんなの顔が馬鹿みたいに想いかえされる

わたしの心の月が堕ちたのは

ねぇ、

ちゃんと知ってる?

あなたの寂しさを救ってあげたかったから

らしいよ


(って、けっこう意地悪なんや?)


もう彼女のことを大好きな血液は

憎しみよりも太い管をゴオゴオと流れ

けっして辿り着けない嫉妬の

そのすぐそばにそれでも大好きな石があって

その石の意志つまりお腹のなかに

お腹のなかにいつまでも刻印されてるみたい

想いはいつまでも生き残ればいい

悲しみだってのたうち回って

そのあと静かになって眠るように

残っていてもいい

残っていればいい



ちゃんとコーヒーを飲むのなら

砂糖なんていらない

ブラックコーヒーが、飲みたい

あなたに教えられたんだよ

砂糖は罪だという白い嘘



(よぉ、知らんけど。)







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