駆け抜けたい/秋葉竹
暮れかかる街並みに
オレンジが引き潮のように
消えてゆき
すこしだけ悲しげな
夜がやって来る
ほんのりと満月をみあげて
流れる雲のかたちを目で追う
子供が描いたT-REXみたいな
ちょいカッコいいやつも
黄色く月に染まる
シャランシャランと
月の宴の始まりの音がする
目にはみえない悲しさなら
悲しむのをやめても
べつにいいんだからさと
目のまえでちっちゃなティンカーベルが
良さげなこと云って
すぐに遠くまで
飛んでゆく
今度はどこの小窓に入る?
すこし気になってみえなくなるまで
飛びゆくさまを目で追った
夜風がそよぎ
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