あの虫がいるのは窓ガラスの内側か外側か/ただのみきや
地の悲しみの澱を素足で吸い上げて
嘔吐する
花びらの金魚
収めきれず
破裂するまなざしの気配
その歌が流れると
わたしの中に風が吹き草木を揺らした
ことばは糸でつないだ骨片や貝殻のよう
最も深い層でしかつながらない
木乃伊に懸想するように
蒼白な雲が息をふさぐ
孤独な星に降ってきた一枚の翼
起こるべくして起こることに
犬たちは連鎖して一斉に吠えたてた
出て行くためには
自分の真中の針穴をくぐりぬけるからだが必要だ
いくつもの物語の破片が散乱した場所で
万華鏡の中に閉じ込めた蝶を覗く太陽
きみもまた焼け焦げた目をし
雨音のスケッチの中に佇む
卒
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