清らかな猫の?/森 真察人
音楽を捨てていた汚い目の猫がよみがえった
なにもない道をゆく
土を被った愚かな感熱紙をぐしゃりと踏みつけ
袋にぎしぎしと詰まった賢い椿のにおいを無視し
ようやく彼は美術館についた
風景のなかの眼が 彼の攻?性を見抜いてなまなましく囁いた
遠路おつかれさまです
彼と彼によく似た 然(しか)し綺麗な目をもつ猫との思い出!
鑢(やすり)のようなそれらの一つ一つを反芻(はんすう)しながら選(よ)り分けて
彼は甲高く嘔吐する
凡(あら)ゆる肉體(にくたい)の苦(にが)みを默想(もくそう)しながら その鮮やかな矛盾を?姦(しかん)して
彼は何時(いつ)迄(まで)も螺旋(らせん)から降りられない
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