ハルキウ/
藤原絵理子
崩れかけた壁に
ミサイルの破片が
突き刺さっている
心には
言葉にならない
恐怖の破片が
10発中9発の迎撃に成功した と
テレビは誇らしげに伝える
残りの1発で瓦礫に埋もれる
赤ん坊のことは
この攻撃で住民が一人死亡 とだけ
ジェット機の音が聞こえると
反射的に体がこわばる
彼女の華奢な肩が
一層頼りなげになる
もう うんざりだ
大人たちが撒き散らした
おぞましい不燃ごみの荒野で
少女に夢を持ちなさい と
誰も言えない
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