引用の詩学。/田中宏輔
 
されている場合、言語は言語である限り、言語であることから由来するさまざまな制約を受けている。おもに、語意や語法のことである。一方、意識や思考は、語意や語法に完全に縛られているわけではない。不適切な文脈で使うこともできるし、間違った語法で言葉をつづることもできる。ヴィトゲンシュタインは、言語の限界が思考の限界だと書いていたが、言語が意味をもつ限り、正しかろうと間違っていようと、意味からは逃れられないが、意味に限界はない。したがって、言語に限界は存在しないはずで、思考の限界が言語の限界であるなら、思考には限界がないということになる。このぼくの主張は正しいだろうか。ぼくという詩人の仕事の一つに、このこと
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