引用の詩学。/田中宏輔
の幼年時代について、秋山和夫訳)
みんなそこで生まれたの。
(マルグリット・デュラス『北の愛人』清水 徹訳)
空の上には一片の雲も掠(かす)め飛んだことはなかった。
(ニーチェ『この人を見よ』なぜ私はかくも怜悧なのか・5、西尾幹二訳)
魂とはなにものか?
(ジャン・ジュネ『葬儀』生田耕作訳)
人間とはいったいなんでしょう、
(ホフマンスタール『チャンドス卿の手紙』檜山哲彦訳)
まことに人間そのものが大きな深淵だ。
(アウグスティヌス『告白』第四巻・第十四章・二二、山田 晶訳)
われわれの内部には、じつに奇怪で神秘的なものがあるん
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