街の娯楽/番田 
 
したおばさんのやっていたプラモ屋。店が閉じた後で使っていなかったクーポン券を持って店に行くと、もう、いつも開いていた扉は閉じていて、「いつか会いましょう」というようなそこに紙が貼られていた。あれからもう、二度と店が開くことはなかったし、プラモもゲームも、流行ることは無かったけれど、時だけが流れた。僕は、坂の途中のできたばかりだったCD屋も、グーグルマップで見ると、シャッターが降りていたのを見た。脳裏で地方で見かけるような、パチンコ屋だけがあるような光景が展開した。振り向くと川は、今日も光を反射して、揺らめいているようにそこで見えた。釣人の姿は今日も見かけない。バスがいなくなると、ブルーギルもいなくなり、釣具屋もなくなった。ただ、娯楽の一つが減るだけなのだ。今はバス釣りには行かないけれど、思い出だけが残っている。僕のあの頃、飛ばしていた、ワームを、あのラーメン屋は潰れるらしいという、NTTの建物の横を通るときに浮かんだネットの情報に思いださせられながら。
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