ホワイト&ブルー/ホロウ・シカエルボク
う命題を抱えているのさ、だから俺は殊更に自分を語ったりしない、それは嘘をついていることになるからさ、自分が何者かであるように見せたがる類の連中が居るだろう、やつらはただ自分の中にあるからっぽが怖いだけなのさ、だから必要以上に、そこに何かがあるみたいに装ってるだけなんだ、見たことあるだろ?ハッタリだけの狂犬とかさ…完全にからっぽだから、そこに歯向かおうとする人生が面白い、それが例えば、詩や音楽を残そうとする姿勢なんじゃないのかな、いつだってそんな意志を食らいながら生きていたいもんだ、中央公園の噴水がパッと跳ねる、俺は指先でその軌道を切ってみた、水は思いのほか冷たく、思わずすぐに手を引いてしまったさ、歩道橋に上って小さな街のメイン道路の端を眺める、週末とは思えないほど人を見かけないのはまだ時間が早いせいかもしれない、いつだってそうだ、こうして立ち止まっているといつでもとんでもない速度の何かが身体の中を駆け抜けていった、それが何かなんてもう知りたいとも思わない、だって多分そんな感覚はすべて、当り前に俺の中に居座り続けているものだからだ。
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